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「より『強い』京セラ」(A Better Kyocera、2025年5月21日版)

アクティビストと知られるオアシスのホワイトペーパー「より『強い』京セラ」(A Better Kyocera、2025年5月21日版)資料を要約しました。

📌 資料概要

発行者:オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッド 目的:京セラ(証券コード:6971)へのアクティビスト的提言を通じた企業価値向上のため

🧭 主要構成

  • オアシスと京セラの関係史
  • 業績低迷の背景
  • 改革への必要性
  • オアシスによる7つの戦略提言
  • ケース・スタディとバリュエーション
  • 京セラ改革実現の難しさ

🔍 問題点の整理

利益率・ROEの低さ:過去5年間のROEは平均3.5%、政策保有株(自己株や提携株式など)が純資産の約53%を占めており、資本効率も悪い

多角化による経営資源の分散:通信や太陽光など派生事業に経営資源が分散し、コア事業への集中が不足している。事業撤退が中途半端である。 

通信事業

いわゆる、スマートフォンに関する事業を問題視している提言になります。本資料によれば、

2023年に、コンシューマ向けスマホ事業から2025年までに撤退する旨を発表、しかし、「 TORQUE 」シリーズのコンシューマ向け販売および法人向け通信事業は継続

ソーラー事業

2023年に中国・天津の太陽光パネル工場を閉鎖し、法人向け製品から撤退。しかし、滋賀工場からの住宅用製品の生産と販売は継続

💡 オアシスの「7つの戦略提言」

  • 年間売上6,600億円を超える非中核事業から撤退
  • 有機基板事業からの撤退による損失回避
  • 米国子会社KAVXの再建と収益性改善
  • GaNデバイス・ミリ波研究開発の中止によるコスト削減
  • コア技術に集中し未開拓分野への注力
  • 積極的なM&Aによるコア事業強化
  • 4年間で1兆円規模の自社株買い実施

📊 ケース検証&評価

非中核事業を整理した場合、株価上昇余地が大きい可能性を示すDCF評価では+59~95%と試算 

過去の株価推移では2015年以降停滞、経営改革には市場の期待が高まっている 

株主総会での社長再任反対票は35%に達し、株主の不満と変革圧力が顕在化 

⚠️ 難易度・課題

  • 過度な事業分散による構造改革の困難
  • オーナー企業としての政策保有株の整理
  • 経営トップや取締役の任期短縮(1年)により、刷新へのプレッシャー増大 

✅ 結論

京セラは優れたセラミック技術と多角的な事業展開を有しているが、非中核事業の整理と資本効率の改善が急務。

オアシスの提言は、経営リソースの集中、資本リターン強化、自社株買いなどを通じて企業価値向上を狙う。

クリーンな株主還元と選択と集中を実施すれば、中長期的に株価や収益性の改善が期待できる。

https://abetterkyocera.com/wp-content/uploads/2025/05/6971_A-Better-Kyocera_May_21_2025_J.pdf

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