プライム市場からスタンダード市場への移行は、企業にとっても投資家にとっても実務的・イメージ的・資本市場での位置づけに影響を与える重要な出来事です。以下に、移行による主な影響を整理します。
株主・投資家への影響
1. 株価の下落リスク
投資家心理の悪化やファンドによる組み換えで売りが集中するケースも。実際、移行発表後に株価が下がる企業は多い(ただし一時的な場合も)。
2. 流動性の低下
プライム市場に比べ、スタンダード市場は売買代金や参加者が少ない。流動性が下がると、売買が成立しづらくなる可能性がある。
3. 配当政策や成長戦略の変更可能性
成長戦略重視から安定経営・配当重視に転換する企業もある。経営者のスタンス変化により、投資方針の見直しが必要になるケースも。
企業側への影響
1. 市場ステータスの低下(イメージダウン)
プライム市場は「日本の最上位市場」であり、国際機関投資家の注目度が高い。スタンダード市場への移行は、「成長性・ガバナンス水準の劣化」とみなされることがある。場合によっては、ブランド力や信用力の低下にもつながりかねない。
2. 海外・機関投資家の投資対象から外れる可能性
多くの海外投資ファンドやインデックス(例:MSCI、FTSE)はプライム市場銘柄を投資対象とする。スタンダード市場に落ちることで、ファンドからの売却圧力が生じることも。
3. 上場維持コストの軽減
プライム市場特有のガバナンス要件(独立社外取締役3名以上、指名・報酬委員会の設置など)を緩和できる。IR活動や統合報告書の作成など、対外的開示の負担も軽くなる場合がある。
影響まとめ
一部の企業にとっては、プライムに無理にとどまるよりも、スタンダード市場で身の丈に合った経営をすることが合理的です。
IRやコーポレートガバナンスに過度なコストをかける必要がない。利益の還元(配当など)に集中できる。成長よりも安定性重視の経営方針に合っている。
しかし、プライム市場を対象としたファンドやインデックスから外れることは株価下落に繋がる可能性が高く、今後の経営次第と言わざる終えません。
移行の可能性が高い銘柄
プライム市場からスタンダード市場への移行が予想される企業は、上場維持基準(特に流通株式時価総額や流通株式比率)を満たしていないことが主な要因です。
対象銘柄は、リンク先に公開されています。
https://www.jpx.co.jp/listing/market-alerts/improvement-period/index.html
問題
端的に言えば、政策保有株式や支配株主といった流動性から除外されている比率を下げるか、株価向上策を打つしかプライムに残るという選択肢がないかと思います。
仮に売り出すとしても、需給のバランスが崩れる為自社株買いなどがセットで実施される必要があります。株価が下がってしまうと流通時価総額が増えない為。
株価向上策を打つとしても、配当を増やせるだけの利益があげられているか。一過性の株主優待ではないかに注意が必要です。
まとめ
プライム維持基準を満たす様に、株価向上策が打たれる可能性も十分考えられます。しかし、スタンダード移行に伴う株価下落のリスクも高く注意が必要です。