株取引を始める前に知っておきたい10の知識

1. 株価は「企業価値+需給」で決まる

株価は、企業の業績や成長性といった“本来の価値(ファンダメンタルズ)”だけで決まるわけではありません。

市場では、多くの投資家が売買を行い、その需給バランスによって価格が日々変動します。例えば、業績が良くても期待が過度に高ければ材料出尽くしで下落することもありますし、赤字企業が急成長期待で買われるケースもあります。

また、為替、金利、世界情勢、インフレなどの外部要因も株価に影響します。

つまり「良い会社=株価が上がる」ではなく、「市場がどう評価しているか」が重要です。初心者がまず理解すべきは、株価は理論だけではなく“投資家の心理”にも大きく揺さぶられるという点です。

2. 分散投資の重要性

株式投資において最も基本かつ強力なリスク管理が「分散投資」です。1つの銘柄に集中すると、企業固有のトラブル(不祥事、決算悪化、訴訟、社長交代など)だけで大きく損失を受けます。

しかし、複数の銘柄・業種・国に分散しておけば、1つの悪材料がポートフォリオ全体に与える影響を大幅に軽減できます。

また、景気サイクルによって強い業種は変化するため、分散は収益の安定化にもつながります。特に初心者は“勝てる銘柄を1つ探す”のではなく、“負けにくい仕組みを作る”という視点が重要です。

分散は守りの戦略でありながら、長期的なリターン向上にも寄与します。

卵は一つのカゴに盛るな

3. 長期と短期で必要な知識が異なる

株式投資は、投資期間によって学ぶべき内容がまったく変わります。

長期投資では、企業分析が中心となり、売上、利益、財務健全性、成長性、競争優位性などを見極める力が必要です。

一方、短期・中期のトレードでは、チャート分析(テクニカル)、需給、出来高、トレンド転換など“価格の動きそのもの”を理解することが重要になります。

また、長期は心理的にゆったりと構えられますが、短期は判断スピードと損切りの徹底が欠かせません。どちらが正しいというものではなく、自分の性格、資金、時間に合わせたスタイルを選ぶことが大事です。スタイルが曖昧だと分析軸がブレて成果が安定しません。

私の中では、長期で優良企業の株を買うことを投資。短期で株を買うことを投機と考えています。

また、短期(1日未満のデイトレード)については、アルゴリズムを用いた高速トレードや市場に貼り付けないことから、副業投資家には不向きこの上なく中長期(四半期以上)の戦略が重視です。

4. 損切りの重要性

株式投資が難しい最大の理由は「損切りが感情的にできない」点にあります。

人は損失を確定したくないため、含み損のまま放置しがちですが、これは資金を大きく減らす原因になります。

小さな損失はコントロールできますが、放置すると取り返しのつかないレベルまで広がることがあります。

特に短期トレードでは、あらかじめ「〇%下がったら売る」というルールを決め、機械的に実行することが重要です。

損失を抑えることは、利益を伸ばす以上に投資を継続する上で大きな意味があります。プロの投資家ほど損切りに忠実で、負けを小さく抑えることでトータルの収益をプラスにしています。

5. 手数料・税金を理解する

株式売買には必ずコストが発生します。証券会社の手数料は以前より低くなりましたが、ゼロではありません。

また、利益が出たときには「約20%」の税金(所得税+住民税)がかかります。例えば10万円儲けても、実際の手取りは8万円ほどです。さらに、特定口座(源泉あり/なし)、NISA、配当課税など、制度によって税金の扱いは異なります。

これらを理解していないと、思ったほど資産が増えないという事態になりかねません。特にNISA制度は節税メリットが大きく、長期投資を行うなら必ず活用すべき制度です。

“ネット証券を選ぶ=コスト管理の第一歩”であり、投資成績に直結します。

6. 決算とIR情報が株価の心臓部

株価を動かす最大のイベントは「決算発表」です。企業は年に4回、業績(売上・利益・今後の予想)を公表し、投資家はそれを基に会社を評価します。

市場予想を上回れば株価は上がりやすく、逆に下回れば下落しやすくなります。また、会社が業績予想を上方修正すると株価が急騰することもあります。

さらに、配当方針や自社株買いなどの株主還元策も重要な指標で、これらは企業の信頼感や投資家ニーズに直結します。

決算は数字だけでなく「市場がどう評価したか」も大切で、決算後は大きく株価が動きやすいので、初心者はポジション管理を慎重に行う必要があります。

ポイントは、投資家の期待を上まるか(下回るか)になっています。良い決算が出ても既に市場では織り込み済みとなっていれば株価は大きく変動しません。市場予想を下回った決算では前年比で+の業績だとしても株価は下がる可能性があるということです。

7. チャート分析の基礎

チャートは単なるグラフではなく“投資家の心理が可視化されたもの”です。ローソク足は一定期間の値動きを表し、買い手と売り手の力関係を読み解けます。移動平均線はトレンドの方向や勢いを判断するための基本指標であり、短期線と長期線の組み合わせによって相場の強弱が理解できます。

また、サポートラインやレジスタンスラインは、価格が跳ね返りやすいポイントとして売買判断の材料になります。すべてを完璧に理解する必要はありませんが、最低限の知識を持つだけで無駄なエントリーを減らせます。

チャートは「未来を予測する道具」ではなく「市場参加者の現在の心理を読む道具」と考えるのが重要です。

8. レバレッジ商品のリスク

信用取引やCFDなどのレバレッジ商品は、少ない資金で大きな取引ができる反面、損失も同じ倍率で拡大するという大きなリスクがあります。

現物株は投資額以上の損失は通常発生しませんが、レバレッジ取引では条件によって借金になる可能性もあります。初心者は価格の変動に慣れていないため、レバレッジを使うとメンタル面が追いつかず、損失が膨らみやすい傾向があります。

上級者が使いこなすことでメリットが出る仕組みであり、まずは現物取引で市場の動きに慣れ、リスク管理ができるようになってから検討するのが安全です。

9. 経済指標・金利・為替の影響

株価は企業だけでなく、マクロ経済にも強く影響されます。特に注目すべきは金利と為替です。金利が上がると企業の借入コストが増え、消費が冷え込むため株価は下落しやすくなります。

また、円安は輸出企業の利益を押し上げ、円高は逆の作用があります。さらに、米国市場は世界の中心であり、アメリカの金利や景気指標は日本株にも直結します。

経済指標は難しく感じるかもしれませんが、最低限「金利・為替・米国株の動き」を把握するだけで、相場の流れをつかみやすくなります。株だけを見ても勝ちにくく、経済全体の“風向き”を理解することが重要です。

10. 100%当たる予測は存在しない

株式市場には不確実性がつきもので、どれだけ経験を積んでも「絶対に上がる株」や「確実な予測」は存在しません。

プロの投資家や機関投資家でも勝率は100%ではありません。だからこそ重要なのは予測の精度ではなく、リスク管理とルールの徹底です。損切りラインを決める、過度な集中投資を避ける、感情でトレードしないなど、再現性のある行動が投資成果を左右します。

また、ニュースやSNSの情報に振り回されず、自分の基準で判断することが継続的な成長につながります。

株式投資は「当てるゲーム」ではなく、「リスクを管理しながら利益を積み重ねるゲーム」と理解することが大切です。

About Shinya Okada

1989年生まれ。既婚。東京高専・茨城大。
グループ会社SE→社内SEへ転職。
趣味:バレーボール、投資、プログラミング